年代物の朱塗りの椀を頂きました。
かつてお寺では、法要のみならず慶事もできるよう什器が揃っていて、当山にも沢山のお膳や座布団、食器が保管されていました。
十余年前の改修工事の折、長年眠っていた什器で状態の良くないものはかなり処分してしまいましたが、当時あれだけの数を揃えお客様をお迎えしていたのだと思うと、使えないと分かっていても処分するのはなかなか勇気のいることでした。

過日、洞光寺さまでお料理を作らせていただいた際、今も多くの食器が残されていることに感激し、ついそんな後悔を口にしてしまったところ、
「使ってくださるのなら是非」とご住職が快くこれらの椀を下さいました。
晋山式などのお祝いの席でお客様をおもてなしになったのでしょうか。
20客程揃った吉祥柄の椀、お言葉に甘えて頂戴してきた次第です。
「古いもので使い物になるか分かりませんが、捨てるにはしのびなく、かと言って取っておいても使う機会がなく、丁度整理をしているところで、またこれに命を吹き込んで貰えるのは嬉しい」と仰ってくださいました。

古き良きものの価値が分からず、思い切り良く色々な物を処分してしまった戒めの念もあり、大切に使わせて頂こうと思った出来事でした。
ありがとうございました。