茶せんなすは母の十八番でした。
東昌寺の秋の法要、薬師如来縁日では、母はまだ暗い朝方からこの茶せんを大鍋に大量に煮ていました。
椎茸の煮物とこの茶せんなすはファンが多かったです。

法要前日は籠いっぱいの茄子を丁寧に一つずつ拭き、縦に切り込みを入れへたを取る作業をしました。
姉と私は小さい頃からこの手伝いをさせられ、茄子の小さなトゲが指先に刺さってずっとチクチクしていて嫌だったことを思い出します。

レシピなんて当然なく、大鍋で煮るのでお醤油も一升瓶。
入れる分量はダーと勢いよく2周か3周、砂糖は一袋、そんな感じでした。
それを家庭用の鍋に茄子4本くらいで作る分量のレシピに起こしましたが、味が決まらず意外と苦戦しました。
お母さん、こんな感じでいいですか?
いつもそんなことを思いながら作る一品です。


写真右は今日の教室で作った作りたて。
左は昨夜作って一晩置いたもの。
煮ると色が抜けますが、時間が経つと茄子紺が戻ってきます。
冷蔵庫で冷やしておくと、おもてなしにも使え、味が良くしみてとても美味しいです。
これから茄子が沢山取れるシーズンです。どうぞお試しください。